在宅で出来る腹膜透析

腹膜透析とは

腹膜透析 腹膜透析は、患者自身の腹膜を「天然のフィルター」として利用します。腹膜は腹腔内を覆う膜で、広げると畳一畳ほどの面積があり、毛細血管が網目状に広がっています。この腹膜を介して、腹腔内に注入した透析液と血液が接触し、血液中の老廃物や余剰水分、電解質が透析液へ移動します。透析液を一定時間腹腔内に留めた後、排出して新しい液と交換することを繰り返すことで、腎臓の働きを代替します。
腹膜透析の特徴は、血液透析に比べて透析が穏やかであり、残存腎機能を保ちやすく、また
自宅で行うため通院回数が少なく、生活習慣に合わせた柔軟な治療が可能です。腹膜透析には大きく分けると2種類の方法があり、日中に透析液バッグを数回交換するCAPD(持続携帯式腹膜透析)と、夜間・睡眠中に自動腹膜灌流装置(サイクラー)という装置を使うAPD(自動腹膜透析)です。

CAPDとは

1日のうちに何度かバッグを交換する必要があるものの、通院の負担がなく、時間や場所を選ばずに透析を続けられる点が大きな利点です。

APDとは

自動腹膜灌流装置(サイクラー)を活用するAPDでは、就寝中に自宅で自動的に透析が実施できます。就寝前に透析液バッグと回路を装置に接続する簡単な準備で、朝まで透析が自動的に行われるため、比較的自由度の高い透析方法です。

腹膜透析の特徴

腹膜透析は、ご自宅や職場など、患者様ご自身の生活リズムに合わせて治療を行うことができます。治療は基本的に患者様ご自身や介護者が行い、通院は月に1〜2回程度です。また、食事制限が血液透析と比較して比較的緩やかであるという利点もあります。
ご自宅で治療を行うことに対して不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、操作自体は複雑ではなく、医療スタッフが丁寧にサポートしますので、ご安心ください。

血液透析と腹膜透析の比較

  APD CAPD 血液透析
場所 自宅等 自宅や職場等 透析医療機関
治療担当者 患者様本人やご家族 医療スタッフ
通院頻度 月1〜2回程度 週3回程度
治療時間 1日7〜9時間(主に就寝中) 1回30分程度の治療を1日に数回 1日4~5時間程度の治療を週に3回
導入前の準備 腹部にカテーテルを埋め込む手術 シャント作成手術
残存腎機能 比較的長く維持できる 比較的短期間で低下する
食事制限 塩分、水分、リン 塩分、水分、リン、カリウム、たんぱく質
日常生活 時間的な制約が少ない 時間的な制約が多い
旅行・出張 薬剤などを準備すれば旅行できる 事前に旅行先の透析施設を予約する必要がある
入浴 カテーテルの保護などの注意が必要 透析日は避ける必要がある
注意点 カテーテル挿入部位や腹腔内の感染 シャント部の感染